【2歳】イヤイヤ期にできていたことができなくなる理由|退行は問題ない?
結論から言うと、2歳前後に「できていたことができなくなる(退行)」の多くは、成長の途中でよく起きる一時的な現象です。
「前は自分で靴を履けたのに、急に『やって!』と泣く」「トイトレが進んでいたのに失敗が増えた」「一人で寝ていたのに急に抱っこじゃないと無理」――こうした変化は、親の関わりが悪かったから起きる…というより、発達の負荷が増えたときに“いったん簡単なモードに戻る”ことで、子どもがバランスを取っていることが多いです。
この記事では、「退行って問題?放っておいていい?」に焦点を当てて、
- なぜ2歳で退行が起きやすいのか
- 心配しなくてよい退行・注意したい退行の見分け方
- 今日からできる、家での具体的な整え方
を、専門用語を噛み砕いて整理します。
- 「退行」って何?2歳でよくある“できなくなる”の具体例
- 2歳で退行が起きやすい理由は「成長の負荷が増えるから」
- 退行は“悪化”じゃない。むしろ「成長が進んでいるサイン」のことも
- まずここを確認:心配しなくていい退行・注意したい退行
- 退行への対応は「戻さない」より「整える」がうまくいく
- 退行を長引かせやすい「逆効果パターン」だけ先に知っておく
- 退行の“正体”は3つに分かれる|あなたの子はどのタイプ?
- 場面別:よくある「できなくなる」を楽にするコツ
- 「退行+イヤイヤ」が強い日は、目標を下げてOK|1日の回し方チェックリスト
- 相談したほうがいい?迷ったときの見極め(退行編)
- 専門家の視点|精神科医が解説するイヤイヤ期の考え方
- 育児に取り組むパパ・ママへ
「退行」って何?2歳でよくある“できなくなる”の具体例
退行というと大げさに聞こえますが、ここで言う退行は「一度できていた(ように見えた)ことが、急に不安定になる」くらいの意味です。
| よくある変化(例) | 親が感じやすい不安 |
|---|---|
| 服の着脱を嫌がる/やってと泣く | 甘やかしたから?わがまま? |
| トイトレが後退する/おもらしが増える | このまま進まないのでは… |
| 一人でできた片付けを拒否する | 前より悪化している気がする |
| 急に抱っこ要求が増える/離れない | 自立が遅れる?依存が強い? |
| 赤ちゃん返りっぽくなる(赤ちゃん言葉、指しゃぶり等) | 発達が止まったの? |
まず押さえたいのは、2歳は「できることが増える時期」でもありますが、同時に気持ち・体・環境の影響を受けやすく、波が大きい時期だということです。
2歳で退行が起きやすい理由は「成長の負荷が増えるから」
2歳前後は、いろいろな力が同時進行で育ちます。ところが、育つ順番はバラバラで、しかもその日の体調や機嫌で波が出ます。
退行が起きやすい理由を、ざっくり言うと「頑張る場面が増えた結果、どこかで“省エネ”が起きる」からです。
理由1:感情の波が大きいのに、落ち着かせる力はまだ育ち途中
2歳は「自分の意思」が強くなる一方で、気持ちを落ち着かせる力(感情のブレーキ)はまだ未熟です。
やりたいのにうまくできない、思い通りにいかない、疲れた、眠い――こうした状態で“できるはずの行動”を維持する余裕がなくなることがあります。
理由2:自立心と甘え(安心欲求)が同時に強くなる
「自分で!」の気持ちが育つと、うまくいかなかったときの悔しさも増えます。
その結果、外では頑張っているのに家では崩れる、できていたのに急に頼る、という形で“甘えが表に出る”ことがよくあります。
これは後退というより、安心を補充して次のチャレンジに向かうための動きに近いです。
理由3:「言葉の理解」と「行動の実行」のタイミングがズレる
2歳は理解力が伸びやすい時期ですが、理解できるからといって毎回それを実行できるとは限りません。
たとえば「靴を履く手順」は分かっていても、疲れていたり気持ちが乱れていると、実行が難しくなります。
親から見ると「昨日はできたのに!」となりやすいのですが、子ども側は“できない日”があるのが普通です。
理由4:環境変化・刺激が増え、回復が追いつかない
保育園・幼稚園、外出、来客、年末年始の生活リズムの乱れ、下の子の誕生など、2歳前後は刺激が増えがちです。
刺激が増えるほど、家で「崩れる」「退行っぽく見える」現象が出やすくなります。
退行は“悪化”じゃない。むしろ「成長が進んでいるサイン」のことも
退行が起きると、親はどうしても「前より悪くなった」「台無しになった」と感じやすいです。
でも、発達の現場では、成長は階段ではなく“ジグザグ”で進むと言われます。
- できる日が増える
- 疲れや不安が重なると、できない日が出る
- 安心が回復すると、またできる日が戻る
この往復があるからこそ、子どもは「できる」を安定させていきます。
退行は、心と体が「今は負荷が大きいよ」「安心がほしいよ」と教えてくれているサインだと捉えると、必要以上に責めずに済みます。
まずここを確認:心配しなくていい退行・注意したい退行
「大丈夫な退行なのか、相談が必要なのか」を見分けるには、“期間”と“生活への影響”を見るのがコツです。
心配しなくていいことが多いパターン
- 波がある(できる日もある/時間帯で差がある)
- きっかけが想像できる(疲れ、睡眠不足、環境変化、体調不良など)
- 安心すると持ち直す(抱っこや休憩で落ち着く)
- 興味や遊びは保たれている(好きなことは楽しめる)
少し丁寧に見たほうがいいサイン
- 2〜4週間以上、明らかな後退が続き、回復の兆しが少ない
- 家庭や園生活が回らないほど、癇癪・拒否が極端に増えている
- 睡眠・食事が大きく崩れ、体重や体調に影響が出ている
- 親が消耗しきっていて、安全やメンタルが限界に近い
ここで大事なのは、「退行=異常」ではなく、親子の暮らしにどれくらい負担が出ているかです。
退行への対応は「戻さない」より「整える」がうまくいく
退行が起きたとき、やりがちなのが
- できるまでやらせる(根性で戻す)
- できないことを叱る
- 前と同じ基準を急に求める
です。
でも2歳の退行は、能力が消えたというより“使う余裕がない状態”であることが多いので、対処の方向性は「戻す」より整えるのほうがうまくいきます。
整える1:要求レベルを一段下げて「成功で終わる」形にする
たとえば着替えなら、全部を一人でやらせるのではなく、
- 袖だけ通す
- ズボンは片足だけ入れる
- 最後のボタンだけ押さえる
など、小さな成功に分解します。
目的は「自立させる」より、今日のコンディションでも“できた”で終えることです。
整える2:言い方を変える(説得より、短い合図)
退行が出ている時期は、長い説明が通りにくくなりがちです。
「なんでできないの?昨日できたでしょ」ではなく、
- 「ここだけ一緒にやろう」
- 「どっちがいい?(赤い靴/青い靴)」
- 「終わったら抱っこしようね」
のように、短い言葉+次の見通しのほうが落ち着きやすいです。
整える3:睡眠と空腹を優先する(ここが崩れると退行が増える)
イヤイヤや退行は、意外と「眠い」「お腹すいた」「疲れた」で増えます。
生活を完璧に整えるのは難しくても、
- 昼寝や就寝前の刺激を減らす
- 夕方の空腹前に軽食を入れる
- 外出後は“回復タイム”を確保する
だけでも、翌日の荒れ方が変わることがあります。
退行を長引かせやすい「逆効果パターン」だけ先に知っておく
退行が出ているとき、親は「今までの努力が無駄になるのでは」と焦りやすいです。けれど、焦りが強いほど、子どもは安心できず、退行が固定化しやすくなります。
特に長引かせやすいのは次の3つです。
- できるまでやらせる(勝負にする):子どもは「失敗が怖い」「また怒られる」が先に立ち、拒否が強化されやすい
- 前よりできないことを指摘する:子ども側は「できない自分」を意識して、さらに避けたくなる
- 親の気分で対応が変わる:今日は許される、明日は怒られる、が続くと混乱しやすい
「毎回うまくやる」は無理でも、逆効果パターンを減らすだけで改善しやすくなるので、ここは意識して損がありません。
一貫性が難しいと感じるときは、次の記事も役に立ちます。家庭内でルールや声かけがブレやすい背景と、揃え方のコツを整理しています。
パパとママで声かけを揃えると何が変わる?一貫性の重要性
退行の“正体”は3つに分かれる|あなたの子はどのタイプ?
退行とひとくちに言っても、背景はだいたい次の3つに分かれます。タイプが分かると、対応の優先順位が見えてきます。
| タイプ | よくあるサイン | 優先する対応 |
|---|---|---|
| 疲労型 | 夕方・外出後・園のあとに崩れやすい | 休息・刺激を減らす・早めの補食 |
| 不安型 | 離れたがらない/特定場面で急にできなくなる | 安心の補充・見通し・スキンシップ |
| 負荷過多型 | 「やりたいのにできない」で爆発が増える | 課題を小さく分ける・成功で終える |
特に「園や外出のあとに荒れる」「家に帰った瞬間からスイッチが切れる」という場合は、疲労型の可能性が高いです。帰宅後に崩れやすい子の特徴と、親ができる回復の作り方は、こちらで詳しくまとめています。
帰宅直後に荒れる子の特徴|一日の疲れが出るタイミング
場面別:よくある「できなくなる」を楽にするコツ
ここからは、よく相談が多い場面ごとに「戻す」ではなく「整える」方向で、すぐ使える形にします。
着替え・身支度が急にできなくなった
2歳は“できる”が増える一方で、イヤイヤと結びつくと一気に崩れます。ポイントは「全部をやらせない」「選択肢を2つまで」です。
- 上だけ/下だけ、など工程を半分にする
- 「これ着る?」ではなく「AとBどっち?」
- 最後に抱っこ・ハイタッチなど、終わりのご褒美を固定する
着替えが毎回もめる場合は、着替え拒否の背景(感覚・主導権・切り替え)と、現実的な対応を整理した記事が役に立ちます。
着替えを極端に嫌がるのはなぜ?毎回もめる原因と対応
トイトレが後退した/失敗が増えた
トイトレの退行は、イヤイヤ期ではかなり“あるある”です。ここで大切なのは、失敗を問題化しないこと。
- 失敗しても「だいじょうぶ、着替えよう」で淡々と
- 誘う回数を増やすより、成功しやすいタイミング(起床後・外出前・入浴前)だけに絞る
- 2〜3日荒れている時期は、いったん“誘いすぎない”ほうが落ち着くことも
トイトレ単体の深掘りは別記事で扱うとして、退行が続くときは「切り替えが苦手」「不快感への敏感さ」などが絡んでいることがあります。
一人で寝ていたのに「抱っこ」「一緒じゃないと無理」になった
これは不安型でよく見られます。ポイントは“最終ゴールを一気に取り戻さない”ことです。
- 同じ部屋で座って見守る→部屋の外で声だけ→短時間離れる…と段階を刻む
- 寝る前の刺激(動画・遊びの興奮)を減らし、固定ルーティンを作る
- 「寝なさい」より「ここまでしたら寝る時間だよ」と見通しを先に出す
夜の荒れが強い場合は、夜特有の疲労と刺激の重なりが関係していることが多いです。寝る前にイヤイヤが増える背景と整え方は、こちらで詳しくまとめています。
寝る前になると荒れるのはなぜ?夜のイヤイヤが強くなる原因
「退行+イヤイヤ」が強い日は、目標を下げてOK|1日の回し方チェックリスト
退行が出ている日は、子どもも親も“余力が少ない日”です。ここで無理をすると、翌日以降に尾を引きやすくなります。
今日だけの最低ラインを決めて、親の自責を減らすほうが結果的に早く戻ります。
もし「毎日イライラしてしまって、対応を整えたいのに整えられない」と感じるなら、親の側の負荷が限界に近いサインかもしれません。自分を責めずに立て直す視点は、こちらの記事も参考になります。
毎日イライラしてしまうのは普通?イヤイヤ期に親の感情が荒れる本当の理由
相談したほうがいい?迷ったときの見極め(退行編)
退行そのものよりも、「暮らしが回らない」「親が限界」「子どもの体調が崩れている」など、生活への影響が強いときは相談が役立ちます。
目安として、次に当てはまるものが多いほど、相談する価値が高いです。
| チェック項目 | 具体例 |
|---|---|
| 回復の兆しが乏しい | 2〜4週間以上、明らかな後退が続く |
| 癇癪・拒否が極端で安全面が心配 | 飛び出し、物を投げる、自傷っぽい行動など |
| 睡眠・食事が大きく崩れている | 夜間覚醒が増え続ける、食べられない日が続く |
| 親が限界に近い | 涙が出る、眠れない、怒鳴ってしまう頻度が増える |
「相談するほどではない?」と迷うときほど、判断軸があるとラクになります。相談の分かれ目をチェック形式で整理した記事はこちらです。
このイヤイヤは相談レベル?家庭対応と専門相談の分かれ目をチェック
専門家の視点|精神科医が解説するイヤイヤ期の考え方
2歳の退行は、能力が消えたのではなく、「今の負荷だと、その力を安定して使い続けるのが難しい」という状態で起きることが多いです。大人でも疲れている日は判断力や段取りが落ちるように、子どもも回復が追いつかないと“できる”が揺れます。だからこそ、退行を「直す対象」にするより、睡眠・安心・成功体験を増やして、自然に戻っていく土台を作るほうが、結果的に近道になります。
育児に取り組むパパ・ママへ
できていたことができなくなると、不安になるのは当たり前です。でもその揺れは、子どもが必死に成長している途中のサインでもあります。今日できる範囲で大丈夫です。
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