【2歳】親の言葉が届かない・入らない理由|発達段階から見る特徴
「さっき言ったよね?」「何度言っても聞かない…」
2歳前後になると、親の言葉がまるで“空気みたいに素通り”してしまう時期があります。
先に結論を言うと、これはしつけ不足でも、親の伝え方が下手なせいでもないことが多いです。
2歳は脳の発達上、
- 感情が強いと「聞く」機能が止まりやすい
- 言葉は理解できても「行動に変える力」が追いつかない
- やりたい気持ち(主導権)が最優先になる
こうした特徴が重なるため、親の言葉が届きにくく見えるのです。
この記事ではなぜ言葉が入らないように見えるのかを、発達段階と関連付けながら整理をしていきます。そのうえで、今日から使える通りやすい伝え方と、叱るべきか迷ったときの考え方まで整理します。
- 2歳で「言葉が届かない」のは、まず正常範囲のことが多い
- 親の言葉が入らない「5つの理由」|発達段階の特徴
- 「聞いてない!」と感じたとき、実は聞けない状態かもしれない|見分け表
- 今日から使える:2歳に「通りやすい言い方」7つ
- 叱るべき?叱らないべき?迷ったときの判断軸(2歳の“聞けない”を前提に)
- 「聞けない状態」をほどく手順|うまくいく親ほど“順番”を間違えない
- すぐ使える:2歳に通りやすい「声かけテンプレ」集
- 「先生の言うことは聞くのに、親には聞かない」現象の正体
- よくある誤解:「わざと」「ナメてる」「甘やかしたから」ではない
- それでもつらい…「言葉が入らない」が続くときのチェックリスト
- 専門家の視点|精神科医が解説するイヤイヤ期の考え方
- 育児に取り組むパパ・ママへ
2歳で「言葉が届かない」のは、まず正常範囲のことが多い
2歳は、言葉が増える一方で、行動のコントロールはまだ未熟です。
つまり「わかっているのにできない」「聞こえているのに動けない」が起きやすい時期。
たとえば大人でも、イライラしているときに長い説教をされると、内容が頭に入らないことがありますよね。
2歳はその状態がもっと起こりやすい、と考えるとイメージしやすいと思います。
イヤイヤ期全体の背景(なぜ反抗が増えるのか)を先に押さえたい場合は、こちらも参考になります。
イヤイヤ期はなぜ起こる?脳と心の発達から見る本当の理由
親の言葉が入らない「5つの理由」|発達段階の特徴
「聞こえていない」わけではなく、発達の仕組み上“入らない状態”が起きています。よくある理由は次の5つです。
① 感情が先に爆発すると、聞く力が一時停止する
2歳は感情のブレーキ(落ち着く力)がまだ育ち途中です。
泣いている・怒っている最中は、脳が「危機対応モード」になり、言葉を処理する余裕が落ちます。
この状態で説明を重ねるほど、親は疲れ、子どもはさらに反発しやすい…という悪循環が起きがちです。
癇癪の仕組みと、落ち着いていないときに起きていることをもう少し深掘りしたい方は、こちらも役に立ちます。
癇癪が起きるのはなぜ?幼児の脳発達と感情コントロールの仕組み
② 「理解」と「実行」は別スキル|わかっても行動に移せない
2歳は言葉の理解が伸びる一方、
- 気持ちを切り替える
- 順番を守る
- やりたくないことをやる
といった実行機能(段取り・切り替え・我慢)がまだ未熟です。
そのため、親の指示が「理解できない」のではなく、理解はしているのに“体が動かない”ことがあります。
③ 主導権を握りたい時期|「言われたからやる」が嫌になる
2歳は自立心が強くなり、自分で決めたい気持ちが急に膨らみます。
この時期は、内容よりも「言われた」という事実に反応して、反対を選びやすいのが特徴です。
「手伝うと怒る」「自分でやりたい」が強いときは、発達段階として自然な面もあります。
【1歳】自分でやりたがる・手伝うと怒る理由|発達段階との関連
④ 長い話は処理できない|聞ける長さに限界がある
2歳にとって、長い説明は「情報量オーバー」になりがちです。
親が一生懸命言えば言うほど、子ども側は“聞く前に逃げたくなる”ことも。
説明が長くなるほど悪化すると感じるなら、「長い説明が逆効果になる理由」を別記事で詳しく解説しています。
説明しているのに悪化する理由|親の話が長すぎると起きること
⑤ 疲れ・空腹・眠気で、言葉が入りにくくなる
2歳は体力がまだ不安定で、疲れがたまると行動が荒れやすくなります。
とくに
- 夕方
- 外出後
- 園の帰宅後
は「聞けないモード」になりやすい時間帯です。
この場合、叱るよりも回復(休息・補食・静かな環境)が効きます。
「聞いてない!」と感じたとき、実は聞けない状態かもしれない|見分け表
対応を変えるために、「わざと聞かない」と「今は聞けない」をざっくり見分けてみましょう。
| 状況 | 起きていること | 有効な対応 |
|---|---|---|
| 泣いて怒っている最中 | 感情優位で言葉処理が落ちる | 落ち着くまで短い声かけ |
| 目を合わせない・逃げる | 負荷が高く拒否が先に立つ | 話を短く・選択肢を出す |
| 夕方や外出後に悪化 | 疲労・空腹・刺激過多 | 休憩・補食・静かな環境 |
| 親が変わると反応が違う | 安心できる相手ほど甘えが出る | 役割分担・声かけを揃える |
「園ではできるのに家だと聞かない」「先生の言うことは聞くのに親には反抗する」など、相手によって差がある場合は、安心できる相手にほど甘えが出ることが背景にあるケースも多いです。
今日から使える:2歳に「通りやすい言い方」7つ
ここからは、“正しい育児論”ではなく、今すぐ家庭で使える形に落とします。
2歳に通りやすいのは、ざっくり言うと短い・具体的・選べる・先に共感です。
① 1文で言う(2文目は飲み込む)
長く言うほど入らなくなります。
「やめなさい、危ないでしょ、何回言ったら…」ではなく、
- 「止まって」
- 「ここまで」
- 「手をつなぐ」
のように短くします。
② 先に気持ちを1回だけ代弁する
2歳は「わかってもらえた」と感じると、次の言葉が入りやすいことがあります。
- 「まだやりたかったね」
- 「それがほしかったんだね」
代弁は長くやらず、1回で止めるのがコツです。
③ 「ダメ」より「してほしい行動」を言う
禁止語だけだと、子どもは次の行動が分からず崩れやすいです。
- ×「走らない!」→ ○「歩こう」
- ×「触らない!」→ ○「手はポケット」
「ダメ」が増えすぎる背景と、言い換えの考え方は、こちらでも整理しています。
イヤイヤ期に「ダメ」が増えすぎるとどうなる?|言いすぎてしまう理由と対処のヒント
④ 選択肢を2つに絞る(3つ以上は逆効果になりやすい)
「やる?やらない?」では、やらないが勝ちやすいです。
「AかB」を出すのが現実的です。
- 「先に靴?それとも上着?」
- 「こっちの階段?こっちのスロープ?」
選択肢が効く理由と、うまく使うコツはこちらで詳しく紹介しています。
選択肢を出す声かけはなぜ効く?イヤイヤ期に有効な理由と使い方
⑤ “先に知らせる”だけで通りやすくなる(見通しの力)
いきなり止められると、2歳は爆発しやすいです。
「あと1回」「時計がここになったら」など、予告を入れると落ち着きやすいことがあります。
⑥ 体で伝える(目線・距離・触れ方)
言葉だけより、
- しゃがんで目線を合わせる
- 距離を近づけて短く言う
- 手を添えて動作を一緒に始める
といった「体の合図」のほうが通りやすい場面があります。
⑦ うまくいかない日は「勝たない」方が早い
一度こじれると、親も子も疲れてしまいます。
そんな日は、ゴールを下げて「暮らしが回るライン」に寄せてOKです。
このあたりの「できること・できないことの線引き」を迷う場合は、こちらの記事が役に立ちます。
イヤイヤ期にできること・できないことの境界線
叱るべき?叱らないべき?迷ったときの判断軸(2歳の“聞けない”を前提に)
親の言葉が入らないとき、叱り方で悩む方はとても多いです。
ここで大事なのは、
- 安全に関わることは止める
- 感情の爆発中は説教しない
- 落ち着いた後に短く伝える
この3つです。
止めるべきライン(叱るというより“止める”)
- 道路に飛び出す
- 人を叩く・噛む
- 物を投げて危険
ここは、優しい声のままでも強制的に止めてOKです。
「危ないから抱っこ」「手を止める」など、行動を止めることを優先します。
迷うライン(叱るより“整える”が効くことが多い)
- 着替えたくない
- 片付けたくない
- 帰りたくない
このラインは「言葉が入らない」状態が原因のことが多く、叱っても改善しにくい場面です。
叱るべきか迷ったときの考え方をもう少し整理したい場合は、こちらの記事も参考になります。
イヤイヤ期に叱るべき?叱らないべき?迷ったときの判断基準
「聞けない状態」をほどく手順|うまくいく親ほど“順番”を間違えない
2歳に言葉が入らないとき、効きやすいのは「説得」ではなく順番の設計です。
ざっくり言うと、次の流れが安定します。
- 安全確保(危ない・壊れる・ケガするを先に止める)
- 落ち着く(感情の波を下げる)
- 短く伝える(1文+具体行動)
- 次の行動に乗せる(選択肢 or 見通し)
ここを逆にすると、たとえば「落ち着いてないのに長く話す」→「ますます聞けない」になりやすいです。
ステップ1:安全確保(ここだけは“強め”でOK)
道路・階段・硬い床で暴れるなど、危険があるときは、優しい口調のままでも身体的に止めるのが最優先です。
この場面で大切なのは「言い聞かせ」より「事故を防ぐ」こと。親の判断は正しいです。
ステップ2:落ち着く(言い聞かせの前に、まず呼吸を戻す)
2歳の大荒れは、“イヤイヤ”というよりパニックに近い状態になることがあります。
そのときは、
- 抱っこ(嫌がるなら距離を少し取る)
- 静かな場所へ移動(刺激を減らす)
- 声は低め・短く・同じ言葉を繰り返す
この「落ち着く」ができると、次の言葉が入りやすくなります。
癇癪の最中にやりがちな逆効果行動(長い説教・追い詰める質問など)は、こちらで詳しく扱っています。
癇癪中にやってはいけない対応とは?逆効果になりやすい関わり方
ステップ3:短く伝える(1文+動作)
落ち着いてきたら、「説明」ではなく動ける言葉にします。
- 「ここまで」
- 「手をつなぐ」
- 「靴をはく」
ポイントは「何がダメか」よりも「何をするか」を先に置くことです。
ステップ4:次の行動に乗せる(選択肢・見通し・儀式)
2歳は“主導権”があると動きやすいです。
うまくいく家庭は、ここで「選べる形」に寄せています。
- 「抱っこで行く?手をつないで行く?」
- 「先に靴?先に上着?」
- 「あと1回したらおしまい。数えるね」
すぐ使える:2歳に通りやすい「声かけテンプレ」集
状況別に、そのまま言える形でまとめます。
家庭によって言い回しは調整してOKですが、骨格(短い・具体・選べる)は共通です。
1)「今すぐやめてほしい」場面
- 「止まって」
- 「手はこっち」
- 「危ない。抱っこ」
2)「やらなきゃいけない」場面(着替え・歯みがき・片付け)
- 「先に(ズボン/シャツ)どっちにする?」
- 「(1回/2回)磨いたらおしまい」
- 「おもちゃは(箱/棚)どっちに入れる?」
3)「切り替えが難しい」場面(遊びをやめる・帰る)
- 「あと1回。終わったら抱っこで行く」
- 「時計がここ。なったら帰る」
- 「帰ったら(おやつ/水/絵本)どれにする?」
切り替えができない問題は、2歳でとても多い悩みです。
「切り替えられない」こと自体の背景と対処を深掘りしたい場合は、こちらが読みやすいです。
【2歳】切り替えができないのはなぜ?|イヤイヤ期がひどくなる理由と対処法
4)「共感してるのに伝わらない」場面
共感は大事ですが、2歳は共感だけで動けないことも多いです。
この場合は「共感→次の一言」のセットが効きます。
- 「やりたかったね。じゃあ、あと1回」
- 「ほしかったね。今日は買わない。代わりに○○」
- 「イヤだったね。抱っこで落ち着こう」
共感が空回りするパターンと、うまくいく切り返しは、こちらでも整理しています。
共感しているのに伝わらない理由|イヤイヤ期の声かけが空回りする原因
「先生の言うことは聞くのに、親には聞かない」現象の正体
この悩み、かなり多いです。
結論から言うと、これは親が軽く見られているというより、
- 親=安心できる相手だから、感情を出せる
- 園=緊張して頑張っている(我慢している)
- 帰宅後=疲れが一気に出る
この3点で説明できることが多いです。
「園ではいい子なのに家で爆発する」タイプは、むしろ頑張り屋さんであることも。
詳しくは、こちらで“二面性”を丁寧に解説しています。
園ではいい子なのに家ではイヤイヤが激しいのはなぜ?二面性の理由と対応
よくある誤解:「わざと」「ナメてる」「甘やかしたから」ではない
親の言葉が通らないと、「甘やかした?」「自分の育て方が悪い?」と自責に向かいやすいです。
でも、2歳の多くは“戦略的に親を困らせている”というより、
- 気持ちが大きすぎる
- 切り替える力がまだ弱い
- 主導権を握りたい
この組み合わせで“そう見える”だけ、というケースが多いです。
「親のせいなのでは」と苦しくなるときは、こちらも合わせて読むと気持ちが少し整理できます。
イヤイヤ期は親の育て方のせい?責めなくていい理由
それでもつらい…「言葉が入らない」が続くときのチェックリスト
多くは成長の一部ですが、親が一人で抱え込みすぎないために、目安を置いておきます。
まず見直すと改善しやすいポイント(環境・体調)
- 睡眠が足りていない(夜ふかし・夜間覚醒が増えた)
- 空腹の時間が長い(夕方の崩れが強い)
- 予定が詰まりすぎ(刺激過多)
- 親が疲れ切っていて余裕がない(当然の状態)
相談を考えてもよいサイン(“困りごと”が強いとき)
- 危険行動が毎日のように続き、止めても改善しにくい
- 癇癪が極端に長く、頻度も多く、生活が回らない
- 園でも家庭でもトラブルが増え、本人もつらそう
- 親が限界で、毎日が崩壊しそう
「相談するほどではないかも…」と迷う時点で、相談は早すぎません。
相談の分かれ目をチェック形式で整理した記事もあります。
このイヤイヤは相談レベル?家庭対応と専門相談の分かれ目をチェック
専門家の視点|精神科医が解説するイヤイヤ期の考え方
2歳の「言葉が入らない」は、反抗というより脳の処理能力と感情の波の問題として起きることが多いです。
親の言葉が届かない場面では、子どもは“聞く気がない”というより聞ける状態ではないことがよくあります。
だからこそ、うまくいくコツは「正しい言葉」を探すことより、落ち着く順番を作り、短く伝え、次の行動に乗せること。親が全部をコントロールしようとするほど消耗するので、「今日はここまでできたらOK」という線を持つほど回復が早いです。
育児に取り組むパパ・ママへ
何度言っても届かない日があるのは、あなたの力不足ではありません。今日うまくいかなかったとしても、親子でやり直せる日はいくらでもあります。
この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。
👉 目次:イヤイヤ期のすべて【完全版】|いつからいつまで?原因・対処法・年齢別・場面別まとめ

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