【2歳】イヤイヤ期にできていたことができなくなる理由|退行は問題ない?

【2歳】イヤイヤ期にできていたことができなくなる理由|退行は問題ない?

結論から言うと、2歳前後に「できていたことができなくなる(退行)」の多くは、成長の途中でよく起きる一時的な現象です。

「前は自分で靴を履けたのに、急に『やって!』と泣く」「トイトレが進んでいたのに失敗が増えた」「一人で寝ていたのに急に抱っこじゃないと無理」――こうした変化は、親の関わりが悪かったから起きる…というより、発達の負荷が増えたときに“いったん簡単なモードに戻る”ことで、子どもがバランスを取っていることが多いです。

この記事では、「退行って問題?放っておいていい?」に焦点を当てて、

  • なぜ2歳で退行が起きやすいのか
  • 心配しなくてよい退行・注意したい退行の見分け方
  • 今日からできる、家での具体的な整え方

を、専門用語を噛み砕いて整理します。


「退行」って何?2歳でよくある“できなくなる”の具体例

退行というと大げさに聞こえますが、ここで言う退行は「一度できていた(ように見えた)ことが、急に不安定になる」くらいの意味です。

よくある変化(例) 親が感じやすい不安
服の着脱を嫌がる/やってと泣く 甘やかしたから?わがまま?
トイトレが後退する/おもらしが増える このまま進まないのでは…
一人でできた片付けを拒否する 前より悪化している気がする
急に抱っこ要求が増える/離れない 自立が遅れる?依存が強い?
赤ちゃん返りっぽくなる(赤ちゃん言葉、指しゃぶり等) 発達が止まったの?

まず押さえたいのは、2歳は「できることが増える時期」でもありますが、同時に気持ち・体・環境の影響を受けやすく、波が大きい時期だということです。


2歳で退行が起きやすい理由は「成長の負荷が増えるから」

2歳前後は、いろいろな力が同時進行で育ちます。ところが、育つ順番はバラバラで、しかもその日の体調や機嫌で波が出ます。

退行が起きやすい理由を、ざっくり言うと「頑張る場面が増えた結果、どこかで“省エネ”が起きる」からです。

理由1:感情の波が大きいのに、落ち着かせる力はまだ育ち途中

2歳は「自分の意思」が強くなる一方で、気持ちを落ち着かせる力(感情のブレーキ)はまだ未熟です。

やりたいのにうまくできない、思い通りにいかない、疲れた、眠い――こうした状態で“できるはずの行動”を維持する余裕がなくなることがあります。

理由2:自立心と甘え(安心欲求)が同時に強くなる

「自分で!」の気持ちが育つと、うまくいかなかったときの悔しさも増えます。

その結果、外では頑張っているのに家では崩れる、できていたのに急に頼る、という形で“甘えが表に出る”ことがよくあります。

これは後退というより、安心を補充して次のチャレンジに向かうための動きに近いです。

理由3:「言葉の理解」と「行動の実行」のタイミングがズレる

2歳は理解力が伸びやすい時期ですが、理解できるからといって毎回それを実行できるとは限りません。

たとえば「靴を履く手順」は分かっていても、疲れていたり気持ちが乱れていると、実行が難しくなります。

親から見ると「昨日はできたのに!」となりやすいのですが、子ども側は“できない日”があるのが普通です。

理由4:環境変化・刺激が増え、回復が追いつかない

保育園・幼稚園、外出、来客、年末年始の生活リズムの乱れ、下の子の誕生など、2歳前後は刺激が増えがちです。

刺激が増えるほど、家で「崩れる」「退行っぽく見える」現象が出やすくなります。


退行は“悪化”じゃない。むしろ「成長が進んでいるサイン」のことも

退行が起きると、親はどうしても「前より悪くなった」「台無しになった」と感じやすいです。

でも、発達の現場では、成長は階段ではなく“ジグザグ”で進むと言われます。

  • できる日が増える
  • 疲れや不安が重なると、できない日が出る
  • 安心が回復すると、またできる日が戻る

この往復があるからこそ、子どもは「できる」を安定させていきます。

退行は、心と体が「今は負荷が大きいよ」「安心がほしいよ」と教えてくれているサインだと捉えると、必要以上に責めずに済みます。


まずここを確認:心配しなくていい退行・注意したい退行

「大丈夫な退行なのか、相談が必要なのか」を見分けるには、“期間”と“生活への影響”を見るのがコツです。

心配しなくていいことが多いパターン

  • 波がある(できる日もある/時間帯で差がある)
  • きっかけが想像できる(疲れ、睡眠不足、環境変化、体調不良など)
  • 安心すると持ち直す(抱っこや休憩で落ち着く)
  • 興味や遊びは保たれている(好きなことは楽しめる)

少し丁寧に見たほうがいいサイン

  • 2〜4週間以上、明らかな後退が続き、回復の兆しが少ない
  • 家庭や園生活が回らないほど、癇癪・拒否が極端に増えている
  • 睡眠・食事が大きく崩れ、体重や体調に影響が出ている
  • 親が消耗しきっていて、安全やメンタルが限界に近い

ここで大事なのは、「退行=異常」ではなく、親子の暮らしにどれくらい負担が出ているかです。


退行への対応は「戻さない」より「整える」がうまくいく

退行が起きたとき、やりがちなのが

  • できるまでやらせる(根性で戻す)
  • できないことを叱る
  • 前と同じ基準を急に求める

です。

でも2歳の退行は、能力が消えたというより“使う余裕がない状態”であることが多いので、対処の方向性は「戻す」より整えるのほうがうまくいきます。

整える1:要求レベルを一段下げて「成功で終わる」形にする

たとえば着替えなら、全部を一人でやらせるのではなく、

  • 袖だけ通す
  • ズボンは片足だけ入れる
  • 最後のボタンだけ押さえる

など、小さな成功に分解します。

目的は「自立させる」より、今日のコンディションでも“できた”で終えることです。

整える2:言い方を変える(説得より、短い合図)

退行が出ている時期は、長い説明が通りにくくなりがちです。

「なんでできないの?昨日できたでしょ」ではなく、

  • 「ここだけ一緒にやろう」
  • 「どっちがいい?(赤い靴/青い靴)」
  • 「終わったら抱っこしようね」

のように、短い言葉+次の見通しのほうが落ち着きやすいです。

整える3:睡眠と空腹を優先する(ここが崩れると退行が増える)

イヤイヤや退行は、意外と「眠い」「お腹すいた」「疲れた」で増えます。

生活を完璧に整えるのは難しくても、

  • 昼寝や就寝前の刺激を減らす
  • 夕方の空腹前に軽食を入れる
  • 外出後は“回復タイム”を確保する

だけでも、翌日の荒れ方が変わることがあります。


退行を長引かせやすい「逆効果パターン」だけ先に知っておく

退行が出ているとき、親は「今までの努力が無駄になるのでは」と焦りやすいです。けれど、焦りが強いほど、子どもは安心できず、退行が固定化しやすくなります。

特に長引かせやすいのは次の3つです。

  • できるまでやらせる(勝負にする):子どもは「失敗が怖い」「また怒られる」が先に立ち、拒否が強化されやすい
  • 前よりできないことを指摘する:子ども側は「できない自分」を意識して、さらに避けたくなる
  • 親の気分で対応が変わる:今日は許される、明日は怒られる、が続くと混乱しやすい

「毎回うまくやる」は無理でも、逆効果パターンを減らすだけで改善しやすくなるので、ここは意識して損がありません。

一貫性が難しいと感じるときは、次の記事も役に立ちます。家庭内でルールや声かけがブレやすい背景と、揃え方のコツを整理しています。
パパとママで声かけを揃えると何が変わる?一貫性の重要性


退行の“正体”は3つに分かれる|あなたの子はどのタイプ?

退行とひとくちに言っても、背景はだいたい次の3つに分かれます。タイプが分かると、対応の優先順位が見えてきます。

タイプ よくあるサイン 優先する対応
疲労型 夕方・外出後・園のあとに崩れやすい 休息・刺激を減らす・早めの補食
不安型 離れたがらない/特定場面で急にできなくなる 安心の補充・見通し・スキンシップ
負荷過多型 「やりたいのにできない」で爆発が増える 課題を小さく分ける・成功で終える

特に「園や外出のあとに荒れる」「家に帰った瞬間からスイッチが切れる」という場合は、疲労型の可能性が高いです。帰宅後に崩れやすい子の特徴と、親ができる回復の作り方は、こちらで詳しくまとめています。
帰宅直後に荒れる子の特徴|一日の疲れが出るタイミング


場面別:よくある「できなくなる」を楽にするコツ

ここからは、よく相談が多い場面ごとに「戻す」ではなく「整える」方向で、すぐ使える形にします。

着替え・身支度が急にできなくなった

2歳は“できる”が増える一方で、イヤイヤと結びつくと一気に崩れます。ポイントは「全部をやらせない」「選択肢を2つまで」です。

  • 上だけ/下だけ、など工程を半分にする
  • 「これ着る?」ではなく「AとBどっち?」
  • 最後に抱っこ・ハイタッチなど、終わりのご褒美を固定する

着替えが毎回もめる場合は、着替え拒否の背景(感覚・主導権・切り替え)と、現実的な対応を整理した記事が役に立ちます。
着替えを極端に嫌がるのはなぜ?毎回もめる原因と対応

トイトレが後退した/失敗が増えた

トイトレの退行は、イヤイヤ期ではかなり“あるある”です。ここで大切なのは、失敗を問題化しないこと。

  • 失敗しても「だいじょうぶ、着替えよう」で淡々と
  • 誘う回数を増やすより、成功しやすいタイミング(起床後・外出前・入浴前)だけに絞る
  • 2〜3日荒れている時期は、いったん“誘いすぎない”ほうが落ち着くことも

トイトレ単体の深掘りは別記事で扱うとして、退行が続くときは「切り替えが苦手」「不快感への敏感さ」などが絡んでいることがあります。

一人で寝ていたのに「抱っこ」「一緒じゃないと無理」になった

これは不安型でよく見られます。ポイントは“最終ゴールを一気に取り戻さない”ことです。

  • 同じ部屋で座って見守る→部屋の外で声だけ→短時間離れる…と段階を刻む
  • 寝る前の刺激(動画・遊びの興奮)を減らし、固定ルーティンを作る
  • 「寝なさい」より「ここまでしたら寝る時間だよ」と見通しを先に出す

夜の荒れが強い場合は、夜特有の疲労と刺激の重なりが関係していることが多いです。寝る前にイヤイヤが増える背景と整え方は、こちらで詳しくまとめています。
寝る前になると荒れるのはなぜ?夜のイヤイヤが強くなる原因


「退行+イヤイヤ」が強い日は、目標を下げてOK|1日の回し方チェックリスト

退行が出ている日は、子どもも親も“余力が少ない日”です。ここで無理をすると、翌日以降に尾を引きやすくなります。

今日だけの最低ラインを決めて、親の自責を減らすほうが結果的に早く戻ります。

もし「毎日イライラしてしまって、対応を整えたいのに整えられない」と感じるなら、親の側の負荷が限界に近いサインかもしれません。自分を責めずに立て直す視点は、こちらの記事も参考になります。
毎日イライラしてしまうのは普通?イヤイヤ期に親の感情が荒れる本当の理由


相談したほうがいい?迷ったときの見極め(退行編)

退行そのものよりも、「暮らしが回らない」「親が限界」「子どもの体調が崩れている」など、生活への影響が強いときは相談が役立ちます。

目安として、次に当てはまるものが多いほど、相談する価値が高いです。

チェック項目 具体例
回復の兆しが乏しい 2〜4週間以上、明らかな後退が続く
癇癪・拒否が極端で安全面が心配 飛び出し、物を投げる、自傷っぽい行動など
睡眠・食事が大きく崩れている 夜間覚醒が増え続ける、食べられない日が続く
親が限界に近い 涙が出る、眠れない、怒鳴ってしまう頻度が増える

「相談するほどではない?」と迷うときほど、判断軸があるとラクになります。相談の分かれ目をチェック形式で整理した記事はこちらです。
このイヤイヤは相談レベル?家庭対応と専門相談の分かれ目をチェック


専門家の視点|精神科医が解説するイヤイヤ期の考え方

2歳の退行は、能力が消えたのではなく、「今の負荷だと、その力を安定して使い続けるのが難しい」という状態で起きることが多いです。大人でも疲れている日は判断力や段取りが落ちるように、子どもも回復が追いつかないと“できる”が揺れます。だからこそ、退行を「直す対象」にするより、睡眠・安心・成功体験を増やして、自然に戻っていく土台を作るほうが、結果的に近道になります。

育児に取り組むパパ・ママへ

できていたことができなくなると、不安になるのは当たり前です。でもその揺れは、子どもが必死に成長している途中のサインでもあります。今日できる範囲で大丈夫です。

この記事が役に立ったら、他の記事も参考にしてみてくださいね。

👉 目次:イヤイヤ期のすべて【完全版】|いつからいつまで?原因・対処法・年齢別・場面別まとめ

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