イヤイヤ期にわざと反対のことをするのはなぜ?|言うことを聞かない理由と対応
「こっちにおいで」と言うと反対方向に走る。
「靴はくよ」と言うと急に脱ぎ始める。
「やめて」と伝えた瞬間に、ニヤッとしてもう一回やる――。
1〜3歳の育児をしていると、“わざと反対のことをする”場面に何度も出会います。しかも不思議なのは、子どもが困っているようにも見えないこと。むしろ、こちらの反応を見ているような顔をすることもあります。
先に結論からお伝えすると、イヤイヤ期に反対のことをするのは、意地悪がしたいからでも、親を困らせたいからでもありません。
多くの場合、子どもの中で起きているのは、次の3つです。
- 自分で決めたい(主導権を持ちたい)
- 気持ちをうまく切り替えられない(脳がまだ未熟)
- 伝え方・状況が合っていなくて、うまく受け取れない
この記事では、「どうして反対のことをするのか」を発達の視点で噛み砕きながら、今日から使える対応を具体例つきでまとめます。
読後に「なるほど、そういう仕組みか」「やれることがある」と感じられるように、一般論で終わらせず、家庭での“再現性”を重視して解説します。
なお、イヤイヤ期全体の流れや年齢別の特徴を先に押さえたい方は、総まとめの記事も土台になります。
状況を俯瞰できると、目の前の“反対行動”への見方が変わって楽になります。
イヤイヤ期のすべて【完全版】|いつからいつまで?原因・対処法・年齢別・場面別まとめ
「わざと反対」をしているように見える3つの理由
理由1:自分で決めたい(主導権を取る練習)
イヤイヤ期は「自立のスタート地点」です。
赤ちゃんの頃は、基本的に大人が決めていました。食べる・着る・移動する・寝る。すべてが大人主導です。
でも1〜3歳になると、子どもの中に「自分で決めたい」が生まれます。
ここが大きな転換点で、子どもは自分の意思を試すようになります。
ただし問題は、決め方がまだ下手なこと。
「自分で決めたい」のに、選択肢の意味がわからない。先の見通しが弱い。疲れや空腹で余裕がない。
そうすると、わかりやすい方法として“反対をする”が出てきます。
つまり、反対行動は「NO」の意思表示であり、主導権を握る練習でもあります。
「自分でやりたい」気持ちが強い子ほど起きやすいので、似たテーマの記事も参考になります。
【1歳】自分でやりたがる・手伝うと怒る理由|発達段階との関連
理由2:切り替えができない(“今”から動けない)
反対のことをする子の中には、意地でやっているというより、「切り替えの脳回路が追いついていない」タイプもいます。
たとえば、遊びに夢中のとき。
「もうやめよう」「次はお風呂」と言われても、子どもは“今の楽しい”を止めるのが難しいです。
そこで「やめる」と言われた瞬間に、反対に走ったり、床に座り込んだり、わざと違うことをしたりします。
これは、親の言葉が届いていないわけではなく、届いているからこそ混乱していることも多いです。
「やめたくない」「でも止められる」――この矛盾で脳がパンクし、行動がぐちゃぐちゃになります。
切り替えが難しい背景を深掘りしたいときは、こちらの記事がより具体的です。
切り替えができない行動は発達の問題?|イヤイヤ期によくある理由と対応
【2歳】切り替えができないのはなぜ?|イヤイヤ期がひどくなる理由と対処法
理由3:親の声かけが「長い・抽象的・急すぎる」
イヤイヤ期の子は、言葉が増えてきたとはいえ、まだまだ処理できる情報量が少ないです。
たとえば、こんな声かけは通りにくいです。
- 「いい加減にして。いつもそうだよね。もう時間ないよ」
- 「ちゃんとしよう。どうしてわからないの?」
- 「早く!今すぐ!もう行くって言ってるでしょ」
情報が多すぎたり、抽象的だったり、焦りの圧が強いと、子どもは理解できないまま“反射”で動きます。
その反射が「反対をする」「逃げる」「違うことをする」になりやすいんです。
もし声かけが空回りしている感覚があるなら、短く・具体的に整えるだけで改善することがあります。
イヤイヤを落ち着かせたいときの短い声かけ|長い説明が逆効果な理由
反対行動が増える“よくある引き金”チェックリスト
「いつも反対する」というより、実は特定の条件のときだけ増えることが多いです。
まずは引き金を見つけると、対応がぐっと楽になります。
- □ 眠い(昼寝が短い/寝不足が続いている)
- □ 空腹(食事の前後、血糖が下がっている)
- □ 刺激が多い(外出・人混み・音・予定が多い日)
- □ 予定変更があった(イレギュラーに弱い)
- □ こちらが急いでいる(焦りが伝わる)
- □ “禁止”が多い(やりたいことが通らない)
- □ 選択肢がない(全部大人が決めている)
特に「眠い・空腹・刺激過多」は、反対行動だけでなく、癇癪やパニックにもつながりやすいです。
生活リズムとの関係を整理しておくと、「今日は荒れやすい日だな」と予測できるようになります。
イヤイヤ期と睡眠・食事の関係|生活リズムが与える影響
今日からできる!「反対のことをする」への現実的な対応
ここからは、家庭で再現しやすい順に、具体策を紹介します。
ポイントは、子どもを“説得”しようとしすぎないこと。勝ち負けにしないことです。
対応1:まず「主導権」を少し渡す(小さな選択肢)
反対行動が多い子ほど、「決めたい」が強いことがあります。
そんなときは、親の目的(服を着る/家を出る)を守りつつ、決める部分を子どもに渡すのが有効です。
例:
- 「靴はくよ」→「赤い靴と青い靴、どっちにする?」
- 「着替えて」→「Tシャツは恐竜と車、どっち?」
- 「帰るよ」→「手をつないで帰る?抱っこで帰る?」
選択肢は2つまでが基本です。多いと逆に混乱します。
この“選択肢”の考え方をもっと詳しく知りたい方は、以下の記事が役立ちます。
選択肢を出す声かけはなぜ効く?イヤイヤ期に有効な理由と使い方
対応2:「反対する前提」で先に言い方を変える
子どもが反対するのは、“反対したい”というより、切り替えが難しい場合が多いです。
そこで、反対が起きる前に、声かけを「切り替えの形」にしておきます。
おすすめの型はこれです。
- 予告 → 合図 → 次
例:
- 「あと2回すべり台したら帰るよ」→(2回数える)→「はい、次は帰る準備」
- 「この動画が終わったら消すね」→(終わりを一緒に見る)→「次はお風呂」
突然の切り替えが減ると、“反対する必要”が減ります。
対応3:反対された瞬間は「短く・低い声・同じ言葉」を徹底
反対されたとき、親はつい説明を重ねたくなります。
でもイヤイヤ期では、説明を増やすほど子どもの脳は処理できず、行動が荒れやすくなります。
その場で効きやすいのは、次の3つです。
- 短く(一文で)
- 低い声(強さではなく落ち着き)
- 同じ言葉(言い換えない)
例:
- 「道路は止まる」
- 「ここは座る」
- 「手をつなぐ」
「なぜダメなのか」を長く語るより、行動を一本化した方が通りやすいです。
長い説明が逆効果になる理由は、こちらの記事で丁寧に解説しています。
説明しているのに悪化する理由|親の話が長すぎると起きること
対応4:安全とルールだけは“淡々と止める”(感情でぶつからない)
「反対のことをする」にも、止めるべきラインがあります。
ただし止め方は、怒りで押し切るより、淡々と境界線を示す方が効果的です。
止める優先順位は、次の順番がわかりやすいです。
| 優先度 | 止めるべき内容 | 対応の考え方 |
|---|---|---|
| 最優先 | 安全(道路に飛び出す、叩く、投げるなど) | 即止める。短い言葉+身体的に安全確保 |
| 次 | 他人への迷惑(店で走る、物を壊すなど) | 環境を変える・撤退も選択肢 |
| 最後 | 好み(服、順番、やり方) | 可能なら選択肢を渡す/任せる |
「どこまで許して、どこから止める?」で迷ったときは、線引きの記事も役立ちます。
イヤイヤ期にできること・できないことの境界線
対応5:わざとっぽい時は「注目の取り扱い」を変える
親の反応を見ているようなとき、子どもは“注目”をエネルギーにしている場合があります。
ここで大事なのは、注目をゼロにすることではなく、注目の配り方を変えることです。
- 危険な反対行動:短く止める(大きく反応しない)
- やめられた瞬間:すぐに注目する(小さく褒める)
例:
- (投げようとした)「止める」→(手を止めた)「止まれたね。ありがとう」
- (逃げようとした)「ここ」→(戻った)「戻れた。助かった」
「わざと」への対応は、叱る・説教するより、注目の方向づけが効きます。
場面別:よくある「反対行動」と声かけ例
外出前:靴を履かない、玄関で逃げる
起きやすい背景:急かされる/切り替えが急/選択肢がない
効きやすい声かけ:
- 「靴は赤と青、どっち?」
- 「抱っこで玄関?手をつないで玄関?」
- 「玄関で1回ジャンプしてから出よう」
外出前の荒れは“毎回同じパターン”になりやすいので、固定化している場合は、こちらも参考になります。
外出前になると必ず荒れる理由|準備段階で起きるイヤイヤ
食事:食べないと言ったのに欲しがる、逆の要求を出す
起きやすい背景:空腹で情緒が不安定/「自分で決めたい」
効きやすい対応:
- 「一口だけ味見する?それとも今日はこれで終わる?」
- 「ごはんはここまで。次はバナナにする?」(選択肢を2つ)
- 「食べる・食べないは決めていいよ。投げるのは止める」(線引きだけ固定)
寝る前:寝室に行かない、布団に入らない、逆に元気になる
起きやすい背景:疲労で脳が興奮/眠いのに眠れない
効きやすい対応:
- 「寝室まで競争する?」(移動のスイッチを遊びに変える)
- 「絵本1冊か2冊、どっち?」
- 「電気は小さいのにする?真っ暗にする?」
「やってはいけない対応」も知っておくとラクになる
反対行動に対して、つい出やすいけれど逆効果になりやすい対応もあります。
自分を責めるためではなく、「次は避けよう」と思える材料として読んでください。
- 勝ち負けにする:「言うこと聞くまで帰らない」→長期戦になりやすい
- 説明でねじ伏せる:長い説教は処理できず悪化しやすい
- 否定ワードの連打:「ダメ、違う、やめて」だけだと、代わりの行動がわからない
- 一貫性がない:昨日はOK、今日はNGだと反対行動が増えやすい
特に「ダメ」が増えすぎていると感じるときは、親側の余裕が削られているサインでもあります。
イヤイヤ期に「ダメ」が増えすぎるとどうなる?|言いすぎてしまう理由と対処のヒント
それでも続くときに見直したい3つのポイント
ポイント1:子どもが「拒否」ではなく「不安」で動いていないか
反対行動が強い子の中には、実は「反抗」よりも不安が強いタイプもいます。
新しい場所、人が多い、音が大きい、予定が違う――。そうした刺激で余裕がなくなると、反対行動が増えて見えることがあります。
慎重タイプ・不安が強い子の特徴と対応は、こちらで詳しく整理しています。
慎重な性格の子にイヤイヤが出やすい理由|怖がり・不安との関係
ポイント2:親の余裕が削られていないか(疲れの影響)
親が疲れているときは、どうしても声が強くなり、言葉が増え、空気が張りつめます。
その緊張は子どもにも伝わり、反対行動が増えやすくなります。
「最近、限界かも」と感じているなら、対応技術よりも先に、休む設計を入れたほうが結果的に早いです。
イヤイヤ期で親が限界を感じるのはなぜ?心が折れやすくなる原因と立て直し方
ポイント3:日常の「できた」を増やして、反対の必要を減らす
反対行動が強いときほど、子どもは「うまくいかない体験」が増えています。
そして、うまくいかない体験が多いほど、子どもは主導権を取りたくなります。
そこで、反対されやすい場面の中に、子どもが勝てる小さな成功を仕込むのが効果的です。
- 玄関で「靴を選ぶ」だけ任せる
- 食事で「お皿を運ぶ」だけ任せる
- 寝る前に「絵本を選ぶ」だけ任せる
“全部任せる”ではなく、“一部だけ任せる”がコツです。
専門家の視点|精神科医が解説するイヤイヤ期の考え方
イヤイヤ期の「反対行動」は、子どもが大人を困らせようとしているのではなく、自分の意思を持ち始めたサインであることがほとんどです。大人の側が「勝たせる・負けさせる」で捉えると、毎回が対決になり、親子ともに消耗します。
一方で、主導権を渡す部分と、安全・ルールで止める部分を分けて考えると、子どもの反対行動は落ち着きやすくなります。“言うことを聞かせる”よりも、“動ける形に整える”という視点が、イヤイヤ期では現実的で効果的です。
育児に取り組むパパ・ママへ
毎日向き合っているだけで、十分すごいことです。うまくいかない日があっても、それはあなたのせいではありません。
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