保育園・幼稚園の担任が変わると不安が強まる?人の変化に弱い子のサインと対応

保育園・幼稚園の担任が変わると不安が強まる?人の変化に弱い子のサインと対応

「新年度になって担任の先生が変わった途端、朝の登園しぶりがひどくなった」
「大好きだった先生がいなくなり、家でも元気がなくて心配……」

保育園や幼稚園での「担任交代」は、大人にとっては毎年の恒例行事ですが、子どもにとっては世界が一変するほどの大きな出来事です。特に、特定の人との関わりに安心感を抱くタイプのお子さんにとって、慣れ親しんだ先生との別れは、心の安全基地を失うような衝撃を伴うこともあります。

結論から申し上げますと、担任が変わって不安が強まるのは、お子さんの愛情深い性質や、変化を察知する鋭い感性の表れであり、決して異常なことではありません。

この記事では、児童心理学の視点から「なぜ担任交代が子どもにこれほどの影響を与えるのか」を解説し、変化に弱い子が発するSOSサインや、親ができる具体的な家庭でのフォロー方法を詳しくご紹介します。読み終える頃には、お子さんの不安定な今の姿をどう受け止め、どう支えていけばよいのか、その道筋がはっきりと見えてくるはずです。


担任交代で不安が爆発するのはなぜ?「心の安全基地」の再構築

子ども、特に1歳〜3歳のイヤイヤ期真っ只中のお子さんにとって、先生は親に次ぐ「第2の安全基地」です。その基地が突然消え、見知らぬ人に入れ替わることは、防衛本能として強い不安を引き起こします。

「予測できる日常」が失われる恐怖

幼い子どもは、「いつも通りの人」が「いつも通りの対応」をしてくれることで、自分の世界が安全だと認識します。担任が変わるということは、自分への話しかけ方、遊び方、抱っこの感触、そして自分の「イヤイヤ」を受け止めてくれる基準が変わることを意味します。イヤイヤ期と愛着形成の関係でも解説している通り、この時期の安心感は、その後の自立心に直結する非常に重要な土台なのです。

イヤイヤ期の特性が不安を加速させる

イヤイヤ期は、自立したい気持ちと甘えたい気持ちが激しく揺れ動く時期です。この不安定な時期に「自分を理解してくれていた先生」がいなくなることは、お子さんにとって支えを失うに等しい出来事です。その結果、慣らし保育中にイヤイヤと泣くときと同じような、強い拒絶反応や感情の爆発が見られるようになります。


【チェックリスト】「人の変化に弱い子」が見せるSOSサイン

言葉で「新しい先生が不安」と言えないお子さんは、行動や体調にそのサインを出します。新年度やクラス替えの後、以下のような様子は見られませんか?

1. 登園・朝の支度の激しい拒否

最も顕著なのが、朝の様子です。昨日までスムーズだった着替えを嫌がったり、園の玄関で親にしがみついて離れなかったりします。これは「安心できない場所(人)の元へ行きたくない」という切実な訴えです。

2. 退行現象(赤ちゃん返り)

今までできていた「お着替え」「トイレ」「スプーン食べ」ができなくなったり、夜泣きが始まったりします。心理学的には「退行」と呼ばれ、自分を幼い状態に戻すことで親の保護をより強く引き出そうとする本能的な行動です。2歳児の退行現象は、こうした環境変化によるストレスが引き金になることが多々あります。

3. 家庭での「イヤイヤ」の激化

園で緊張し、新しい先生に気を遣っている分、家でその反動が爆発します。特に、園ではいい子なのに家で荒れるパターンは、お子さんが外で限界まで頑張っているサインといえるでしょう。

4. 体調の変化

  • 食欲が落ちる
  • 寝付きが悪くなる、夜中に何度も起きる
  • 原因不明の腹痛やじんましんが出る(精神的なストレスから)

変化に弱い子への「家庭での関わり方」4つのステップ

新しい環境や担任の先生に慣れるスピードには個人差があります。親が焦って「早く慣れなさい」と急かすのは逆効果です。以下のステップで、ゆっくりと心のリハビリを支えてあげましょう。

ステップ1:まずは不安な気持ちを100%肯定する

「新しい先生、まだドキドキするよね」「前の先生が大好きだったもんね」と、お子さんの寂しさや不安を言葉にして代弁してあげましょう。気持ちの代弁フレーズを使うことで、子どもは「パパやママは自分の苦しさをわかってくれている」と感じ、それだけで心の波が少しずつ収まってきます。

ステップ2:家を「絶対的な安全地帯」にする

外で戦っているお子さんにとって、家は唯一鎧を脱げる場所です。この時期だけは「しつけ」のハードルを少し下げ、甘えさせてあげてください。抱っこの時間を増やし、お子さんの好きな献立にするなど、五感で「ここは安全だ」と感じられる環境を作ります。

ステップ3:新しい先生の「良いところ」をポジティブに話題に出す

「今日の先生の笑顔、素敵だったね」「〇〇先生、一緒に粘土してくれて楽しそうだったね」と、親の口から新しい先生のポジティブな情報を伝えます。信頼している親が先生を好意的に見ていると知ることで、お子さんの警戒心が少しずつ解けていきます。

ステップ4:園での頑張りを具体的に認める

「新しいクラスで1日頑張ったね」「お靴、自分で履いて中に入れたね、かっこよかったよ」と、結果(泣かずに登園できたか等)ではなく、その「プロセス(頑張り)」を具体的に褒めてあげましょう。イヤイヤ期と自己肯定感を高める関わりは、こうした不安な時期こそ大きな効果を発揮します。


園との連携|先生に伝えるべき「情報」と「お願い」

担任の先生も、新しい受け持ちの子どもたちと信頼関係を築こうと必死です。親から適切な情報を伝えることで、先生もお子さんへのアプローチがしやすくなります。

連絡帳や面談で伝えたいことリスト

伝える項目 具体的な内容の例
家庭での様子 「最近、朝になると先生に会うのが少し緊張すると言っています」
安心するポイント 「頭をなでられるよりも、手を繋いでもらうと落ち着くようです」
好きな遊び・話題 「今は新幹線のドクターイエローに夢中なので、その話をすると喜びます」

もし、先生との相性や園の対応に不安を感じる場合は、保育園・幼稚園が合わないと感じたら?の記事を参考に、環境そのものを見直すべきかどうかの判断基準を確認してみてください。多くの場合、1〜3ヶ月程度の時間をかけてゆっくりと関係は構築されていきますが、親の「直感」も大切な指標になります。


専門家の視点|精神科医が解説

児童精神医学の観点から申し上げますと、特定の養育者や保育者との別れに対して強い反応を示すのは、その子が「選択的愛着(特定の相手を特別な存在として認識し、愛着を抱く能力)」を正しく獲得している証拠に他なりません。これは社会性発達の非常に重要な指標です。

変化に弱いお子さんは、心理学的な特性として「感覚の過敏性」や「気質の慎重さ」を持っている場合が多いですが、これは決して短所ではなく、周囲の微細な変化を察知し、深く処理する「HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)」的な資質であるとも捉えられます。医学的な用語でいえば、脳の「扁桃体(不安や恐怖を司る部位)」の反応性が一時的に高まっている状態です。この時期、前頭前野(感情を制御する部位)は未発達であるため、大人が介入して「環境の予測可能性」を高めてあげることが必須となります。「新しい先生=安全で楽しい存在」という記憶が脳に上書きされるまでには、神経可塑性の観点から見ても、数週間から数ヶ月の『移行期』が必要です。このタイムラグを異常と捉えず、脳の適応プロセスとして温かく見守ることが肝要です。


育児に取り組むパパ・ママへ

朝から泣き叫ぶわが子を背に園を後にするのは、身を切られるような思いですよね。「私の育て方が甘いから?」なんて自分を責める必要は全くありません。お子さんは今、人生の大きな壁の一つである「変化」を、小さな体で一生懸命乗り越えようとしています。そんな頑張り屋のお子さんと、毎日を必死に支えるあなた自身に、まずは「今日もお疲れ様!」と花丸をあげてくださいね。


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